心を癒す仕組みと障害受容へ向けて

4.精神的後遺症と障害受容・変容

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①心を癒す仕組みと障害受容に向けて -「心が動く」(荘道社2001年)-

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 1.脳梗塞の後遺症
 2.悲観からの回復の心理的「ステージ理論」の種々相
 3.私の障害受容への道
 さいごに

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「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」

  • -平成16年:発症丸3年を経過して-

  • はじめに 後遺症と森山志郎氏「心が動く」との出会い

    「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
  • 平成14年私は、脳梗塞で倒れた。
  • 今まで経験したことのない精神的・肉体的な苦しみが、襲いかかってきた。
  • しかし、その精神と肉体の回復を求め続けるもう一人の自分の存在があった。
  • 全く動かなくなった身体を見つめながら、辛い苦しいリハビリへ駆り立てて行った力とは何であったのか。

  • 人間を、新しい価値へ導く、困難というものの本質とは何であろうか。
  • 「真の障害受容」という精神的自立に至るまでには、深い、長い道のりがあることを知った3年間であった。

←1.脳梗塞の後遺症→

  • 1.脳梗塞の後遺症「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」

    • 脳血管障害(脳卒中、脳梗塞など)には、壊死した脳神経細胞の部位や大きさによって、色々な後遺症が残る。個人差があるのであるが、私には次のような後遺症が残った。

    • 1)「機能」障害:
      • ① 左半身の手足に、運動障害が残った。
      • ② 発症6ヶ月後に「1種2級の重度身体障害者手帳」の交付を受けた。
      • ③ 発症して3年、今では、歩くことに関しては、生活に支障が無い程
        • になり、左手も少し動き始め、右手の補助作用を始めている。「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
      • ④ 私の回復の原点はリハビリの継続であり、希望を与えられたの
        • は、同じ脳卒中体験者の自主グループに参加したことで、多くの方の身体的後遺症が月毎に・年毎に改善されていく事実を知ったことであった。

    • 2)「体調不良」障害:
      • ① 「目の乾きによる痛み」―「今まで経験のない疲労感と鉛のよ
        • うな身体の重さ」、「7ヶ月目頃から始まった左肩の亜脱臼による強烈な痛み」が24時間;8ヶ月位続いた。
      • ② 気が狂うほどの痛みー切り落としたいほどの肩の痛みは精神を圧迫するのに十分であっ
        • た。しかし、3年経った今、痺れ以外痛みは解消している。

    • 3)「精神的」後遺症:「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
      • 私の体験した「精神的な後遺症」は、主なものに次のようなものがあった。

      • ① 沈黙するからだと「パニック障害」
        •  ・入院1週間の点滴を完了した後も動かない身体に、強い
          • 衝撃を受けた。左に倒れたら起き上がれない、全く感覚のない左半身、歩くことはおろか、座ることもできない。

        •  ・沈黙する身体を見つめながら:リハビリを始めて1週間
          • 位過ぎた頃、動かない足を見つめながら、妻が来院するのを待っていた。
          • 急に「再起不能!」という思いと「未来への不安」が急激な形で押し寄せて来た。 

            「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
          • -「呼吸ができない!」「深呼吸ができない!」「底の無い真っ黒な谷底に、スローモ-ションで、落ちて行くような、全身の血管がミゾオチの一点に絞られたような切迫感」に襲われ、全身冷や汗と悪寒に見舞われた。身体をベッドに折り曲げながら、息絶え絶えに、消え入りそうな力なき自分の生命を見つめていた。
          • その症状は、後年 「パニック症候群」 の一種であったことを知ったのであるが、今までに経験の無い、対処できない感情が押し寄せてきたのであった。

      • ② 苦悩の種類―私に押し寄せてきた苦悩は発症後、時を同じくし、または単独で次々に押
        • し寄せて来た。それは、次のようなものであった。

        • イ)健康な身体の喪失
          • 「何故、自分なのか」、「何故動かないのか」、動転する自分の気持ちは怒りや悲しみが津波のように押し寄せて来た。
          • 思い通りに行動できない自分の身体に、長い間深い悲しみを感じ続けた。

        • ロ)過去への悔恨「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
          • 自分の過去の仕事、家族への対応、健康への自信過剰、全ての行動に深い悔恨の思いが募り、悲嘆に暮れ、「関心の方向が過去にのみ向いている」「殻に閉じこもっている」状態の私そのものであった。

        • ハ)目標の喪失と未来への不安
          • 障害を受けたことで、何時社会復帰出来るか目途も立たず、退職後の仕事の計画も失った。同時に、将来の経済的不安を発生させた。
          • そのことで、未来を失ったと自分を責め、悲嘆にくれた。

            「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
        • ニ)自信喪失と孤独感
          • 身体の障害は、家族の中であっても、障害者は自分ひとりという孤独を感じていく。後遺症の苦しさは、健常者である家族にも、医療関係者にも分かって貰えないことに気づいて行く。
          • 孤独感に自信喪失感情が加わり、淋しさや空しさ、挫折感が強まって行くのであった。

        • ホ)環境の変化への対応
          • 思いがけず、私を襲って来たものは、「障害者としての自分の劣等感」であった。「機能を失った障害者の身体」という環境の変化にも同時に対応していかなければならなかった。

「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」

        • ヘ)獲得されて行く無力感
          • 身体のリハビリは、発症3ヶ月が「急性期」として急激に回復をする。
          • 6ヶ月目までは「回復期」として、順調に回復して行くが、大体6ヶ月位で固定するとい医者の説明があった。
          • 確かに、リハビリ開始して3カ月の急性期には、「座れた」、「寝返りが出来た」、「杖や装具」を着けてであっても、歩けるようになること等は、感動の連続であった。
          • でも、それ以降は薄皮を剥ぐような進歩しかなく、「何かが出来るようになった」と言うことは、「今までのようには出来ないこと」を確認する事でしかないのであった。
          • 歩く・立つ・座る・話す等のADL(日常生活行為)の訓練だけでは、無力感が獲得されて行くことを知った。

            「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
        • ト)希 死 念 慮
          • 中途障害者になった人の8~9割の人が、「死」を連想していると言われている。症状自体も辛いものであり、また精神的に全てを悲観的に考え、この辛い状態は、生きている限りは永久に続くのではないかという錯覚に陥る。ただ自分の死が、これ以上の家族の苦しめたくないという思いが私の心を支配していた。

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 2.悲観からの回復の心理的「ステージ理論」の種々相
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←2.悲嘆からの回復の心理的「ステージ理論」の種々相→

  • 2.悲嘆からの回復の心理的「ステージ理論」の種々相

    • ① アメリカの精神科医エリザベス・キューブラ・ロスのステージ理論モデルが有名である。「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
      • 臨死患者が死を受容するまでにどのような心理的ステージを経るかに関するものである。

      • 第1段階は「否認と隔離」である。
      • ほとんどの患者は、痛ましい知らせを受けた後に『違います。それは真実ではない。』という。否認は衝撃を緩めるための健康な対処とされる。
      • 第2段階の「怒り」が、否認がもはや維持できなくなった時現れる。この段階で情動を表出し終えると、第3の「取引」の段階に移行する。
      • この段階では、驚くほど多くの患者が、多少の延命と交換に『神に生涯をささげる。』と約束したという。
      • 次の第4段階は「抑うつ」で、患者はこれから生じるだろう世界との決別を覚悟するために経験しなければならない準備的抑うつに陥る。
      • 怒りを吐き尽くし、嘆きも悲しみもし終え、患者は近づく自分の終焉を見つめる段階に至る。これが第五段階の「受容」である。
      • 悲嘆からの回復には、色々な学者が「ステージ理論」という考え方の中に悲哀や悲嘆が心理的反応として導入されている。

    • ② ステージ理論を知っただけでは、心理的圧迫の解決は出来ない。
      • 理論が理性の段階で納得しても、実感という感情が全ての基になることを感じていった。
      • では、実感を得ることが出来るにはどうすればいいのか。
      • 行動への絞り込みを何にすればいいのか・実行の準備と実行の為に、どれ程の時間を要するのか私には解らなかった。


←3.私の「障害受容への道」→

  • 3.私の「障害受容への道」

    「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」
    • ① 私は、「障害受容」という解決しなければならな
      • い課題に出合った。

    • ② その中で、「障害受容」の道を開いて行けたの
      • は、「心が動く」-脳卒中片マヒ者、心とからだ十五年-「森山志郎著」との出会いであった。

    • ③ そこには、障害と共に15年間生きて来られた現実
      • と越えて来られた多くの課題と努力の道程が、丁寧に、正直に語られ、加えて障害と人生に深い考察がなされていた。
      • “やっと巡り合えた!”そんな思いが、この書を手にして思えた。

    • ④ 私は、すぐ手紙を書き、感謝と著者が主催する自主グループへ参加を希望した。私への返事
      • の手紙の中には、ご自分の体験を通した私の悩みに対する深い理解の言葉に満ち溢れていた。私は、そのことで「深く癒されて行く自分」を見つめていたのである。

「心を癒す仕組みと障害受容へ向けて」


←さいごに→

  • さいごに

    • 発症以来3年を経過した。しかし、自己処罰や悔いの思いが消えない現実に、まだ完全に「障害受容が出来た」と宣言できる状況にはない。

    • 私は、辿り着いた今の心境を次のように感じている。

  • 1.「障害の受容」に向かって生きる決意が出来た。
    • 「心が動く」 の書の中に次のように記されていた。

      • ①「障害の受容」は、「もう一度この姿勢で戦うぞ」と立ち上がらなければならない
        • のだということ。もう一度、自信を取り戻し、何かの武器を手に入れ、再び立ち上がって戦う姿勢がもとめられる。

      • ② だから、自分の努力で治そうと思っても、少しも治らない手足を見つめて「これ
        • は一時的な障害のはずなのに」と、見通しのないまま出口のない迷路に踏み込み、病院のリハビリ治療やマッサージなどに通う人が多いことになる。

      • ③ 一日も早く残された機能を基本にして、新しい能力を身につける工夫をする方向
        • に、切り替えねばならない。人間としての誇りを取り戻したら、手足の不自由なことは、個性の一部として考えられるようになる。

  • 2.私自身もまた「出口の無い迷路に踏み込んでいる」と強く思えた。
      • ① 身体的リハビリによる機能回復の訓練に、もう一歩進んだ生き方が求められているのだ
        • と思えるのには、長い時間を要した。

      • ② しかし、今、私は、甦った強い自分に向かって、勇気を持って、「障害受容の道しる
        • べ」を辿っていきたいと思う。多くの導きの中に、私は、障害受容の確かな確信を得るに至っている。

      • ③「問題点を明らかにし」「その原因を整理し」「自分の出来る幾通りかの対策」を考え、
        • それを絞込み「実行の為の準備を整え」「実行」する。
        • 結果如何によらず自分が「行動」する中で解決の道が開けてくるのだということを理解できた。その道を進めて行きたいと思う。

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